帰り道



「それじゃあ、行くね。山口さんもありがとう。また来るから」


そう言って村上さんはいつも通り1000円をあたしに差し出す。


あたしは頭を振って


「今日はいいです。それで何か買っていってあげたらいいんじゃないですか?」


「いやこれは凛ちゃんのだからさ」


「じゃあ、何かと傘でも買って下さい。風邪ひいて村上さんが来てくれなくなるのは淋しいですから。」


村上さんはフッと柔らかく笑うと『わかった』と言ってお金を財布にしまって彼女の元へと向かって行った。


村上さんの背中が暗闇にのまれて見えなくなるまで見送った。


けして許されることではないけれど、あたしは村上さんの幸せを願った。


山口さんともその後にすぐに別れた。


今日はダンスをしていないからそのまま改札の前を通過して駐車場に停めていた原チャに乗り家に向かった。


ポツ‥


雨が屋根を弾く音が響く。その音を合図に段々雨音が激しくなっていく。


「間に合わなかったか‥。」


結構話し込んでしまったから仕方ない。


どうせ濡れるのだからこのままコンビニに行って温かいコーヒーと何か夜ご飯買おうかな。


1日ぐらいサボっても何も問題ないし。


あたしはそのまま駅から少し行った所にあるハルが住む●●町のコンビニに向かった。
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