目には目を、歯には歯を
薄膜の向こう、ナイフを取り出したジャックは、笑いながらそのナイフを振り上げた。

ジャックと、ダイアナの意識が同時に恐怖に怯える。

だが、髪を掴まれて身動きができない身体では逃げようがない。

ナイフは、深々と下腹に突き刺さった。

――!!

あまりの痛みに声も出ない。

涙が勝手に流れ落ちる瞳で、ナイフを振り上げるジャックを見上げる。

『あんまり時間がないからな、刺し殺すだけにしてやるよ。ただし、たっぷり苦しむだけ苦しんでから、だがな』

心底楽しそうに笑みを浮かべて言うジャックの顔は、ダイアナの目には悪魔のように映っていた。

ダイアナの意識のジャックは、自分の顔の筈なのに、あまりの醜さに吐き気を覚える。

だがそれも、下腹部の痛みにかき消された。

ダイアナの恐怖よりも、、ジャックは更に怯えていた。

この後、ダイアナはどうなるか知らない。
ただただ、死の恐怖と、何をされるか判らない不安に怯えている。

だが、ジャックは覚えているのだ。

まざまざと。



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