目には目を、歯には歯を
『腹は、刺してもすぐには死なない。ただし、一番苦しんで死ぬ場所なんだよな』

笑いながらナイフを引き抜いたジャックは、そのままとても自然に、そのナイフを右の太腿に突き立てる。

『大丈夫。すぐに出血多量で意識を失ったりしないように、動脈は避けるからな。これだけじゃ死なないさ』

優しく語りかけるように、甘い声で囁く。

ダイアナの意識は混乱しきっていた。

――何で??
具合が悪くて動けなくなってしまったあたしを、親切に送ってくれるって、あんなに優しく誘ってくれたんじゃない!?
何でこんな酷いことをするの??

声にならない叫びを上げ、ジャックをただただ見る。

『つまんないなぁ。心底怯えると、泣き声も出ないときたもんだ。あんなにぺちゃくちゃしゃべってたのにな』

ため息をついたジャックは、さらに引き抜いたナイフを、今度は右肩に突き立てる。

――痛い、痛い! もうやめてくれぇっっ!!!!!

ジャックは、ジャックに向かって叫んだ。

だが、ジャックの声は言葉として発せられることはない。

話せるのはダイアナだけだ。



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