妖の王子さま



「・・・もう、私以外の人と、その、そういうことしないでほしいの」

「そういうこと?」

「・・・身体、重ねないで欲しい」



少し照れながらもそう伝えた。
志多良が話していたことを思いだしたのだ。

白玖は、いろいろな女の人のところを渡り歩いていたと。
この屋敷に、あの天のように尋ねてくる女狐もいたのだと。




「蒼子以外の人?」

「あ、人も、妖も」

「・・・うん。わかった」



いとも簡単にそう言ってのける白玖に、少し驚き頭をあげた。
白玖と向かい合い目を合わせる。



「い、いいの?」

「うん」


確かめるように尋ねると、白玖は頷いた。




「蒼子が言うなら、しない。蒼子とじゃないと、満たされない」




白玖の言葉に、顔を染める。
そして、嬉しくて頬を緩めた。





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