妖の王子さま



「でも、なんで?」

「へ?」

「なんで?」



白玖のまっすぐな瞳。
蒼子は、空笑いを浮かべ「えーと」と呟いた。



「あの、あのね。前牛鬼が私の包帯を巻いてくれた時とか、私が角を触ろうとした時とか、白玖怒ったでしょう?」

「うん。ヤキモチ、だよね。覚えたよ。ヤキモチ。牛鬼、いらっとした」

「そう。私も、白玖が他の女の子とそういうことするの知ると、ヤキモチ焼いちゃうの。だから」



蒼子は、少し照れながらもそう言った。
白玖はハッと目を見開く。



「蒼子も、ヤキモチ焼くの?」

「や、焼くよ!当たり前でしょう?」

「そっか。うん、そっか!」




白玖は、嬉しそうに叫んだ。
その素直な反応に蒼子は微笑む。

白玖を、好きになってよかった。

心からそう思った。




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