Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
 永瀬の家に上がるのは久々だった。永瀬からウチに訪ねてくることが多かったし、異性を連れ込んでいる率の高い永瀬の家には近寄り難いものがあって私から訪ねていくことはまずなかった。

「何飲む?」
「えっと……」
「あ、ビールしかねぇや」

 缶ビールを受け取って封を開ける。シュワシュワと炭酸が弾ける音と同時にこぼれそうになる泡に慌てて口をつける。うん、美味い!
 部屋をみわたす。意外とキレイにしている。テーブルの上に無造作に置かれたダイレクトメールやベッドに投げ捨てられた寝間着らしき服が目につく以外は整頓されている方だと思う。
 そして、いつ来てもウチとは違って物静かだ。特に、隣の部屋がさ……。

「テレビ、つけてよ」
「なんで?」
「なんでって……あっ、旅行中さ、」
「なんだよ、さっきは面倒くさがって全然話さなかったくせに」
「べ、別に……」

 落ちつかなかった。
 ちょっと前までなら二人きりになったところで戸惑うことなんか絶対になかったのに。とにかく沈黙は避けたい、そんな気分だ。

「落ちつかねえの?」
「いいえ!」

 永瀬は「あっそ」と言うと自分も缶ビールを持ってベッドの脇に腰かけた。缶の封を開けてゴクゴクと飲みながらぐっとネクタイを緩める。その様子を無意識にじっと見ていた。

「なに?」

 上から見下ろされながら言われて不自然にさっと俯く。
 な、なにと言われても……なんなんだろう、今のこの落ち着かない気持ちは。

「なんか蒸し暑いなー」

 永瀬の動く気配に顔を上げる。歩きながらネクタイを外しベッドに放り投げると……

「……!!」

 なんと、シャツを脱ぎ出した!!

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