Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~

12 永瀬のキモチ

 目が覚めたのは夕方だった。眠り過ぎたせいか頭がぼーっとしてしばらくじっと天井を見つめていた。

「起きた?」

 声のする方へ目を向けるとタオルで頭を拭きながら部屋に入ってくる永瀬の姿が目に入る。

「俺もさっき起きたとこでさ」
「あ……ごめん。ベッド」
「いいよ別に。熱下がった?」
「たぶん。寝すぎて頭がぼーっとするけど気分はいい」

 永瀬は「そっか」と言うとリモコンを手に取ってテレビをつけた。ちょうど夕方の情報番組内で飲食店を特集していてそういえば今日何も食べていないと思うと急にお腹が空いてきた。

「腹減ったなー。なんか食いにいこうぜ」

 それは永瀬も同じのようだ。私は頷く。

「おまえもシャワーくらい浴びてったら?」
「い、いいよ。自分の家で浴びる。着替えもないし。先に私の家に寄って……」
「めんどくせーな。ここで浴びて、外出て帰りにおまえん家に寄ればいいだろ」
「でも」
「いいから早くしろよ」
「……はい」

 不本意ではあるけど、バッグからポーチを取りだし大人しく従ってバスルームへと向かう。先に使うわけじゃないからまだいいかな……

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