恋する時間を私に下さい
隣に住んで、身の回りの世話してた頃と変わらない。
住んでる場所が隣かそうじゃないかくらいの違いでしょ…と言うと、お姉ちゃんは真剣な表情で「違う!」と反論した。


「今までは、部屋の鍵を預かっても返してたの!でもね!今はほら……」

チャリ…とデスクの上から取り出したキーチェーン。
この間までは、お姉ちゃんの部屋の鍵しか付いてなかったのに…

「……何?この黒い鉄の鍵…」

古い錠前を開けるのに似てる。
お姉ちゃんはそれを大事そうに手のひらに乗せて見せた。

「レイさんの部屋の鍵……預けてくれたの。いつでも来ていい…って…」

うっとりした顔してる。
何だかイロイロと思い出してるみたいだけど……

「…いつでも思う時に行っていいの⁉︎ 」

私の質問に狼狽えた。
暫く考え込んで、赤い顔をして言った。

「う…うん……多分……」


ーーお姉ちゃんが奥手だとは思ってたけど、まさかここまでとは思わなかった……。

「…あのさ〜、何してんの⁉︎ …今すぐレイさんトコに行きなよ!」
「い、行きなよ……って…今、夜じゃない!」

もうすぐ0時なのよ…と、時計を指差した。

「カンケーないよ!その為の鍵なんでしょ⁉︎ 」

いつ来てもいい…って言われたんだよね⁉︎…と念押し。

「だったら、寝込み襲うくらいの勇気持ち合わせてよ!妹としても情けないじゃん!」

人生は楽しまなきゃ損だって、いつも言ってるのに私。
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