恋する時間を私に下さい
「…だから〜、なんでそのまま帰って来ちゃうの⁉︎ 」

朝帰りしてきた私を、ルナは呆れるように迎えました。
明け方近くまで礼生さんの部屋にいたけど、疲れきってる彼は目を覚ますこともなく、仕方なく朝ご飯の用意だけをしてマンションへ戻った。

始発電車に乗ったのは初めてでした。
軽く悪いことをした後のような気分でした。


「あーあ…せっかくお姉ちゃんが頑張ったのに……」

ぶちぶち言うルナを笑い、自分達の食事の準備を始める。


……出勤の用意をしながら、久しぶりに行く『OーGATA図書館』のことを考えてた。
向かう電車の中で、昨日聞けなかった第二『OーGATA図書館』の話を聞こうと思った。


電車を降り、駅前の通りを歩いていくと、街角に古いビルが見えてくる。
あの最上階に見える部屋の中に、自分の好きな人がいる……。

そう思うだけで、胸がいっぱいになった。

『OーGATA図書館』は、いつも私に幸せな時間をくれる。

…きっと、これからも……それだけは変わらないと思う。



ーーー軽い足取りで歩く道のり。
裏口のドアを開けて、そこにいる礼生さんの顔を思い浮かべながら、一人、幸せな時間に浸った。

……まさか…ドアを開けた途端、彼に怒られるとは思いもしないで………






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