恋する時間を私に下さい
図書館では、物静かな方だと思ってたのに。

いつもキチンとスーツを着こなし、綺麗に髭剃りをして、髪はワックスで整えられてて、薄い平たいメガネの奥は、優しい色をしてるな…と、憧れてたのに…。


ガラガラと音を立てて崩れていく…というのは、こういう事なんだと実感しました。

私の中では、いつものクールで涼し気で優しそうな緒方さんのイメージは見事に崩れ、怪し気で、不潔そうで、汚らしい姿しか見えなくなりました。

そんな気持ちのまま、とにかくある物を駆使して作った物は…

パスタの麺を全部茹でて、コーンスープと一緒に煮込んだスープパスタと、
レトルトご飯と炒飯の残りを温めて、ふりかけを混ぜて作ったオニギリと、
腐りかけのトマトも何かに…と思ったけど、それはやっぱり使わずに捨てたから、その二品のみ。


「緒方さん…緒方さん…!」

ユサユサ…と、体を揺り起こしました。
さっき倒れた場所で、気絶してるように眠り込んでた彼の目が開く。


「ご飯…できましたよ…」


ホッとしながら、声をかけました。
薄くボンヤリとしてた目から、少し光が戻ってきたような気がした瞬間……



「めしだぞっ…!!」


急に大きな声が出たので驚きました。

「わっ…!」

ビクつく私なんか、眼中に入ってません。
彼は立ち上がって、部屋中に転がってる『屍』達に、「起きろ!起きろ!」と声を荒げます。
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