恋する時間を私に下さい
背の高い、体格のいい加藤さんの後ろにいた私に、初めて気づいたみたい。
驚いた顔してる。

「礼生さんに会わせて下さい!お願いします!」

二人の間に割り込んで頼みました。
必死になってる私に目を向け、コウヤさんが迷うような眼差しをして……


「会わない方がいいと思う…」

呟くように言いました。

「どうして⁉︎ 」

声を荒げた。

「皆、心配してるんですよ!会わないと、話も聞けないじゃないですか!」

皆なんて言い方したけど、自分が一番会いたかった。

会って話したかった。
理由を言いたかった。
どうして昨日…あんなふうに拒絶したか……。


「……ガタさんは……今……話せる状態じゃないよ……」

目を彷徨わせるコウヤさんの言葉にムッとした。
どんな状態でもいいから、礼生さんに会わなきゃ…と思った。

「お願い!礼生さんに会わせて!……礼生さん!いるなら返事して!」

中に向かって叫んだ。
声は返ってこない。
それどころか、物音一つしません。


「……言ったろ。話せる状態じゃないんだ……」

「そんな…」


そんなの…信じてたら…


(何も……進まなくなる……!)


「どいて!」

コウヤさんを押しのけて、中に入った。
正面にはキッチンが見える。左手にバスルームとトイレ。
右手には部屋。
廊下から見える壁にはにベッドが置いてあって、そこには礼生さんの姿はなかったけど…

一歩足を踏み入れると、反対側の壁に、凭れるように座り込んでる彼の姿があって……


その姿は、まるで……



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