恋する時間を私に下さい
死んでる人……みたいで……



「礼生さんっ!!」

思わず大声を出して、側に寄った。
虚ろな眼差しは動くこともなくて、表情はのっぺらぼうで、ぼぅっとしてる。
体には力が入ってるようにも見えなくて…
心はどこか遠くへ行ってるような感じで……


「…どうしちゃったの……」

震えながら、彼の頬を触りました。


「礼生さん……?どうしたの……?」

涙が零れ落ちてくる。
こんな彼の姿を想像したことがなくて、ホントに目の前にいるのが本人なのか信じられなくて……


「…お願い……何か…言ってください……」


泣きながら、頼んでるのに……
礼生さんの目は……
私の方を見なくて………


カタッ…って音がして、コウヤさんが側に来た。
緩くカールしてる礼生さんの前髪に触れて…ゆっくり、話し始めた。


「……昨夜、修羅場の打ち合わせをしに行ったんだ…。そしたらガタさんがこんな状態のまま、部屋の中にへたり込んでて……」

コウヤさんは、ここへ連れてきた事情を説明しだした。
私はその間、ずっと礼生さんの顔を眺めてた。

瞳は開いたままだった。
でも、その中には色が写ってなくて、私の顔を写しても、反応しないまま、空を見つめていたーーーー。




「…病院へ連れて行こう……」

そう言ったのは、加藤さん。
すごく当たり前のことなのに、私とコウヤさんは反対した。

「嫌です!」
「そんなのダメ!」
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