超能力者も恋をする
******
あの事で亮太に言われた「気持ち悪い」の一言があって、すみれはサイコメトリーの能力をもう使わないように自制していた。使っちゃいけない筈だったのに。
それなのに、また同じ過ちを繰り返してしまった。
空は晴れて太陽は明るく輝いているのにすみれの心からは真っ暗に沈んでいた。
隣に座る亮太が大きく息を吐いて話し始めた。
「間宮、中学の時は悪かった。酷い事を言って、すまなかった。」
「えっ?」
いきなりの展開に驚いて目を見開いて亮太を見つめ返す。その顔は真剣そのもので更に戸惑ってしまう。
「何で亮太君が謝るの?悪いのは勝手に携帯を読んでしまった私だよ!本当にごめんなさい。」
「間宮は変わらないな。いつもそうやって他人を気にしてたよな。それなのに、俺は携帯を見られた事で頭に血が登って、気持ち悪いなんて言って。間宮、傷ついたよな?
あの頃ガキだった俺は、間宮ときちんと話す事もしないでそのままうやむやにしちゃってさ…。
ずっと、また会ったら今度はちゃんと謝りたいと思っていたんだ。だから謝らせてくれないか? あの時酷い事を言ってしまって、すまなかった。」
「そんなっ!私も…私も勝手に読んでしまって、ごめんなさい。」
お互い、頭を下げて謝った。
顔を上げたら亮太と目が合った。亮太は口角を上げて微笑んだ。きっとお互い同じ表情だろう。
10年ぶりに再会出来て、やっと、やっと
お互い謝る事が出来て胸がいっぱいだった。