超能力者も恋をする

「どういたしまして。じゃあ、寝ましょうか。」
先輩がベットに横になる。もう目が半分閉じかけていて眠そうだ。
布団をかけようと体を屈めると、先輩の腕が伸びてきて、そのまますみれを抱き寄せた。バランスを崩して、先輩の上に倒れてしまう。

「すみれも、いっしょに寝よ？」

(ぎゃー！！)
いきなりの出来事に、驚いて声な出ないが心の中は絶叫していた。

慌てて身動ぎして先輩の腕から抜け出そうとするが、がっちりと抱き締められていて動けない。完全に抱き枕状態だ。

耳元に先輩の吐息がかかる。酔っているからか先輩の体は熱かった。心臓のトクトクという音もはっきり聞こえる近さ。

すみれの心臓はものすごい早さになっている。
(もう無理！)
さすがに耐え切れなくなって、すみれは思いっきり「先輩と離れたい！」と焦って念じた。