超能力者も恋をする
歩いて10分程で着いた「喫茶プラム」は、駅からも程近い大通りから一本外れた道沿いにあって周りは閑静な住宅街の中にポツリと佇んでいたので、今まですみれは知らなかった。隠れ家的で素敵な雰囲気のお店だった。

カランカラン

「マスター、こんにちは〜。」
「はい、いらっしゃいませ。」

カウンター越しに白い豊かなあご髭を生やした初老のマスターがにっこりと挨拶を返してくれた。
先輩は慣れた様子で奥のテーブル席へと座って、すみれも続いて向かい側に座った。
「ハンバーグセット2つね!」
お水を持ってきたマスターに先輩が注文する。

「はいよ。賢人君が女の子連れて来るなんて珍しいね。」
マスターは去り際にニヤッと言って奥に戻って行った。

思わず頬が赤くなってしまった。
先輩がコホンと咳払いをする。
「ちょっとふざけたマスターだけどハンバーグの味は美味しいから。」

程なくして、香ばしいソースの香りと共に料理が運ばれてきた。
ジュウジュウと音を立てているハンバーグはすみれの拳より大きく、他にホカホカのガーリックライスに、濃厚なコーンスープが付いていた。
< 72 / 135 >

この作品をシェア

pagetop