超能力者も恋をする
ハンバーグにナイフを入れると肉汁が溢れ出てきた。ソースを絡めて口に入れると何ともジューシーでお肉がとろけた。
「…!美味しい!」
「だろ?」
満足げな笑顔で先輩はハンバーグを頬張っていた。先輩の一口は大きくてモグモグと食べる様子は少年のようで見てて可愛らしかった。

あまりに美味しかったのであっと言う間に綺麗に平らげてしまった。
食後に紅茶を飲みながら、少しゆっくりとする。
昼時を過ぎていたので、お客はすみれ達の他は1人だけだったので静かな時間が流れる。

「はい、どうぞ。」
マスターはパウンドケーキをテーブルに置いた。ドライフルーツがたっぷり入っていて美味しそうだ。
「あれ?頼んだっけ?」
「サービスだから、どうぞ食べて。」

そう言ってマスターはウインクをした。
思わずドキッとしてしまった。
…多分絶対マスターは若い頃きっとモテただろう…。

「そういえば!いつもしてる時計どうしたの?今日はしてないみたいだけど。」
赤くなったすみれを見て、2人の間を割るように先輩がマスターに話し掛けた。

とたんにマスターの顔が曇った。
「実はね、失くなってしまったんだよ。探したんだけど出てこなくて…。もう一週間になるかな…。」
沈んだ声でマスターは言う。
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