超能力者も恋をする
でも加藤先輩とだと超能力の事を隠す必要も無いし、何よりすみれの超能力が好きと、この能力の事も好意的に思ってくれているから、何も気負う事無く自然に話せる。
それがすごく楽だし楽しいし、先輩と話せて嬉しい。

そんな幸せを胸に秘めながら歩いていると、急に後ろから悲鳴が聞こえてきた。

「泥棒ーっ!!」

振り返ると私たちの後ろを歩いていた女の人が叫んでいた。その近くにはフードを被った人が自転車でこっちに走って来るのが見え、その手にはバックが握られていた。
(自転車のカゴから盗ったんだ!)

最近自転車のカゴから鞄をひったくる事件が多発してると、駅にも張り紙がしてあったのでピンときた。

犯人の自転車が、近付いてくる。
加藤先輩がすみれを自分の後ろに庇ってくれた。犯人と超能力すれ違う時、犯人の手にあるバックが目に入った。
その時、すみれは咄嗟に念じた。
(バックよ、こい。)
< 81 / 135 >

この作品をシェア

pagetop