赦せないあいつと大人の恋をして
愛しい想い
「龍哉、今、何時?」

「う~ん。四時を少し過ぎたところかな。どうして?」

「夕食の支度」

「そうか。まだ早いよ。もう少し眠る?」

「ううん。もう眠くないから……」

 それでもまだ少し眠そうな綾を見詰めながら……。
「綾、本当に綺麗だ。俺には勿体無いくらい良い女だよ」

「そんなことない」

 恥ずかしそうな綾の仕草は、龍哉の愛しい想いをますます膨らませていく。

「龍哉は自分の良さに気付いてないだけよ」

「俺に良いところなんて有るのかな?」

「龍哉が自分を知らないだけ」

「そうか?」

「そうよ」

 龍哉は思わず綾にキスした。唇に、おでこに、瞼に……。そのまま、また抱きしめる。

「あったかい」
 綾が言った。

「綾の肌、透き通るくらい綺麗だ。もう俺には生涯、綾だけだ。他の女は目に入らないよ」

「嘘つき。綺麗な人が通ったら、ちゃんと見るくせに……」
 少し笑いながら綾が言う。

「そんなことしないよ。綾より綺麗な女を他に知らない。見た目だけなら他にも居るかもしれない。でも心や気持ちや考え方の綺麗な女は他に居なかった。だから綾に惹かれた。綾と一緒に居ると俺が幸せになれるんだ。俺みたいな奴でも心が綺麗になっていくような気がする」

「龍哉は純粋な気持ちをちゃんと持ってると思う。良くない評判や噂や、少しは乱れた生活をしてたかもしれないけど……。そうじゃなきゃ好きにならなかった。ずっと私にとって龍哉は最低な男のままだったと思う。絶対に愛したりしなかった……」

「綾……」
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