妖しく溺れ、愛を乞え
「外に食事、行きますか?」
「いや、俺はいい。雅は……」
「あたしも、これで良いです。お菓子とシャンパン」
なんだかおかしくなって、深雪と目を合わせてクスクス笑った。
「あ、氷」
冷凍室を開けると、案の定なにも入っていなかった。
「あるわけ無いか……」
「なに。問題無い」
深雪はニヤリとすると、指をパチンと鳴らした。
「あ」
その途端、鳴らした右手からパラパラと細かい氷がこぼれ落ちた。
「製氷機なんてものはいらない」
「あはは……」
あたしはグラスを取ると、その氷を受け止める。
「こぼれちゃう……あっ」
ガチャン。
氷を受け損ね、グラスを手から落としてしまった。シンクに散らばる破片。
「おい」
「った……切ったみたい」
破片で切ってしまったようだ。ああもう、なにやってるんだろう。
「大丈夫か」
「ごめんなさい。あたしの不注意」
「見せろ、ああ……」
ささくれがあって少し荒れた指先に、赤く血が滲む。
深雪はあたしの手を取ると、眉間に皺を寄せた。
「ごめん、グラス……」
「そんなの、良い」
そう言うと、血の滲んだ指をそっと口に運ぶ。
「ちょっと」
「じっとして」
温かく湿った舌の感覚。指先が全身になってしまったみたいに。身震いが来て、息ができない。
チュッという音で、唇が離れる。
「いや、俺はいい。雅は……」
「あたしも、これで良いです。お菓子とシャンパン」
なんだかおかしくなって、深雪と目を合わせてクスクス笑った。
「あ、氷」
冷凍室を開けると、案の定なにも入っていなかった。
「あるわけ無いか……」
「なに。問題無い」
深雪はニヤリとすると、指をパチンと鳴らした。
「あ」
その途端、鳴らした右手からパラパラと細かい氷がこぼれ落ちた。
「製氷機なんてものはいらない」
「あはは……」
あたしはグラスを取ると、その氷を受け止める。
「こぼれちゃう……あっ」
ガチャン。
氷を受け損ね、グラスを手から落としてしまった。シンクに散らばる破片。
「おい」
「った……切ったみたい」
破片で切ってしまったようだ。ああもう、なにやってるんだろう。
「大丈夫か」
「ごめんなさい。あたしの不注意」
「見せろ、ああ……」
ささくれがあって少し荒れた指先に、赤く血が滲む。
深雪はあたしの手を取ると、眉間に皺を寄せた。
「ごめん、グラス……」
「そんなの、良い」
そう言うと、血の滲んだ指をそっと口に運ぶ。
「ちょっと」
「じっとして」
温かく湿った舌の感覚。指先が全身になってしまったみたいに。身震いが来て、息ができない。
チュッという音で、唇が離れる。