妖しく溺れ、愛を乞え

「雅の血、美味しい」

「なに言って……」

「俺は……お前が欲しい」

 ぐっと手を掴んだかと思うと、強引に唇を塞がれる。

「や、め」

 あらがう手も一括りにされてしまい、キッチンの壁に押しつけられてしまった。

「なぜ嫌がる」

「なぜって、だって」

「そんな顔をして、嫌だって言うのか」

 どんな、顔をしているっていうの……そんな風に言わないで。

「欲しそうな顔で俺を見ているくせに」

 ブラウスの上から体をまさぐられて、怒りがこみ上げる。どうして、なぜそんなことを言うの。

「そんなわけない! やめて」

 強い口調で言って、睨む。切れ長の深雪の目が、あたしを高い位置から見ていた。

「俺が好きか」

「好きじゃない」

 身動きが取れないまま、このまま犯されてしまうかもしれない。でも、心は開けない。

「好きだと言え」

「好きじゃ、あっ」

 深雪はあたしを床に押し倒し、覆い被さって来た。強力な腕で押さえ込まれて、動けない。

「や……!」

 体を押さえつけられ、唇を塞がれる。

 バタバタと足を動かして、精一杯抵抗した。こういうことをする為にあたしをここに招き入れたのか。拾ったと言うのか。

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