メシトモ!
 佐々木さんはつくねを頬張りながら、ハイボールを飲んでいる。

「佐々木さん、今度は私が質問していいですか?」

「どうぞ」

「どうしてデザイナーになろうと思ったんですか?」

「子どもころから、手先が器用なタイプでね。小学生のころ家庭科の授業で初めてミシンを使ったとき、すごく楽しかったんだ。でもさ、男だから裁縫が好きっていうのがなんか恥ずかしくて、授業や母親に頼まれたときに、ボタン付けや裾上げするぐらいだったんだ」

 手先が器用な人は昔から器用なんだ。そう言われてみれば涼太も小さいころから器用だった。

「高校生になって、絵画部に入ったんだ。部室の本棚にデザイン関係の本も結構置いてあってさ、適当にそういう類の本を見ていたんだ。そこですごいドレスを見つけたんだ。真っ赤なドレスなんだけど、裾の方になるとだんだん白くなっていくんだ。一瞬、血で染まっているように見えたんだけど、怖いとかグロテスクとかは思わなかった。幻想的だなって思った。それがきっかけで服飾デザイナーになりたいと思ったんだ」

「あの、もしかしてウェディングドレスじゃなくて、ただのドレスが作りたかったんですか?」

「そう。よくわかったね」
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