メシトモ!
「ああ、今の話と、前に『ディマンシュ』ってお店に連れて行ったもらっとき、濃い色のドレスを作りたいって言っていたから」

「うん。モデルさんが着るような個性的なドレスが作りたかったんだけどね。でも、ウェディングドレスを作るのも楽しんだ。自分が作ったドレスを着て、新しい人生の一歩を踏み出す人がいると思うと、誇らしいし、幸せだなと思う」

 さっき、スケッチブックにドレスを描いていた佐々木さんは楽しそうだった。ドレスを作るのが好きなんだと思う。それに自分のデザインに真剣に向き合っているんだろう。だって、ブライダルフェアでの佐々木さんはデザイナー以外何者でもなかったから。

「佐々木さんの仕事、すごく素敵です」

「ありがとう」

「いえ。あの“Maria Afternoon”って知ってますか」

「うん。ここ数年は新作を発表していないよね。映画で使われることもあったかな」

「佐々木さんは知ってますよね。同じドレスのデザイナーですからね。私、最近知ったんですよ」

「へえ」

 佐々木さんはそれほど興味を示している感じではなかった。
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