メシトモ!
 順々ドレスを見ていくと、加絵が「あれ」と言った。

「どうしたの?」

「あれ、ヴェールだよね」

 加絵が指さすほうには人だかりができていた。その隙間から見え隠れするのはヴェールだった。人だかりが少し落ち着き、ヴェールの前に向かう。そこには私が知っているヴェールがガラスケースに入って展示されていた。

 それは佐々木さんに頼まれてモデルをしたときに被ったヴェールだ。横にあるデザイン画を食い入るように見つめた。

 ラフに描かれた女性が目の間にある同じヴェールを被っている。そして服は私が着ていた水色のワンピースだった。余白には数字がメモさてる。一番下にはあの日の日付もあった。

 佐々木さんは"Maria Afternoon"のデザイナーなの? 

「宏実、どうしたの?」

「えっ、ううん。なんでもない」

「そう。活動再開を機にウェディングドレスも作るのかな?」

「どうだろうね。行こう、加絵」

 ヴェールから離れ、出口へ向かおうとしたときだった。
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