メシトモ!
 このドレスを着て、か。なんだか私には似合わないような気がするな。なんだろう、会いたいような、会いたくないような変な気持ち。まあ、六日まであと十日くらいはあるし、それまでにちゃんと考えよう。

 十日はあると思っていた。時間はあると思っていた。全くなかった。大晦日と正月のおかげでホテルは全室満員。とても有難いことだけど。仕事、仕事で、考え事をする時間もないまま六日になってしまった。

 夕方にシフトを入れず、急いで実家に帰った。

 そしてドレスを着てみた。サイズがピッタリで“なぜ”と思った。デザイナーならおおよそで、わかるものなんだろうか。

 鏡に映る姿は、なんだか直視できなかった。ウェディングドレスのデザイナーであり"Maria Afternoon"のデザイナーでもある人が作ったドレス。でも私にとっては、佐々木さんが作ったドレスを着ているということが、なんだかドキドキした。髪とメイクを直して、ドレスよりも丈の長いコートを羽織る。

 そして指定された場所へ向かった。そこにはきれいなオフィスビルがあった。エレベータに乗り三階へと昇る。

 エレベータのドアが開くと、すぐ目の前にダークブラウンのドアがあった。そのドアには"Maria Afternoon"と書かれている。

 インターフォンを押すと、ドアがゆっくりと開いた。
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