メシトモ!
「久しぶり。よかった、来てくれて」

「久しぶりだね。元気そうでよかった」

「うん。入って」

 佐々木さんに促されて、オフィスの中に入った。大きなテーブルが真ん中にあり、ドレスを着たボディがいくつも並んでいた。オフィスと言うよりは、アトリエと言ったほうが正しい気がした。

「コート預かるよ」

 佐々木さんは私の後ろに回った。一瞬、脱ごうとした。はっとして、脱ぐのをやめた。コートを脱いだら、あのドレスだ。それを着ている姿を見せる勇気はない。

「いいや。コート着てて、ちょうどいいから」

「そう」

 佐々木さんは近くにあったイスを引き寄せて「どうぞ」と言った。そのイスに座り、佐々木さんもイスに座った。

「二カ月ぶりだよね。海外はどうだった」

「うん。いい仕事ができたよ」

「そっか。よかったね。先月、"Maria Afternoon"のドレスの展示会、見に行ったよ。ビックリしちゃった。あのヴェールがあるんだもん。それにデザイン画まで。その日、たまたま紗希さんと会ったよ」
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