メシトモ!
⑦ メシトモ! コイビト!
「美味しそう。幸司、イタリアンも得意なんだ」

 テーブルの上にはいい香りを漂わせたパエリアが置かれた。

「パエリアはそんなに難しい料理じゃなないよ。たぶん涼太君も作れるんじゃない」

「どうだろ。うちでは出てきたことないかな」

 パエリアを取り分け「いただきます」と言ってから、それを口に運ぶ。

「美味しい。魚介類の味が染みてる」

「そう。気に入ってもらえてよかった」

 私と幸司は相変わらず、美味しいものに目がない。外で食べるときもあれば、幸司の手料理の日もある。私の勤務時間がまばらなため、気が付けば半同棲状況になっていた。はっきり言って、ここ最近はアパートに帰った記憶もない。

 涼太には「同棲すれば。てか、結婚しちゃえば」と言われている。そして加絵にも同じことを言われた。

「昨日さ、田崎さんにいつ結婚するんだって聞かれた」

「結婚しろっていう人がまた一人増えたね」

「ねえ、してみる? 来年くらいにでも」
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