メシトモ!
「いいよ。その代わりちゃんとプロポーズしてね。じゃないと結婚してあげない」

 幸司は笑いながら「最高のプロポーズの言葉を考えない」と言った。

 幸司の仕事は順調に進んでいる。ウェディングドレスを作る傍ら、"Maria Afternoon"のドレスも作っている。どちらも評判がいい。当の本人はただいいもの作っているだけと言って、案外あっさりしたものである。

 私が相変わらずホテルで忙しく働いている。

「この前、アルバイトの子に彼氏さんと馴れ初め教えてくださいって言われたんだ。よくご飯を食べに行く友だちだったのって言ったら、その子、すごいこと言ってきたんだよ」

「どんなこと?」

「へえ、メシトモだったんですね。食欲って、いろいろな欲につながってるって言いますよね。きゃっ、相性抜群って。周りにいた男性スタッフなんか微妙な感じでにやけてて。絶対に変なこと連想されたよ」

 幸司は「若い子なら、そういう感じの話に持っていきがちだよね」と笑っている。

「それにさ、僕らの出会いはヴェールを落としたことだけど、付き合いたいって思えたのはご飯のおかげだよ。だからいいんじゃない。食の好みが一緒で、他の好きなものも一緒で、気づいたらその人を丸ごと好きになってました、でさ」

「そうだね」
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