メシトモ!
 こんなことを言ったって、私たちにはグラスワインを頼むことはない。ドリンクバーから持ってきた、ジュースを飲んで気を紛らわした。

「ねえ、親に結婚しろって言われることある?」

「ううん、全然。加絵って、もう親から結婚話が出るの?」

「そうなの。信じられないよ、社会人になって三年、まだ二十五だよ」

「それは大変だね」

 親からの結婚に関するプレッシャーは意外ときついらしい。大学の先輩とたまたま会ったときに言っていた。二十八歳になった途端、結婚、孫という単語が増え始めた、と。

「今まで、そんなこと言ってなかったんでしょ? なんで急に」

「いや、久しぶりに実家に帰って、ウェディングプランナーをやっていると、結婚に夢を見る感覚がどんどん薄れてくみたいなことを言ったの。それで心配してだと思う。一人っ子だから余計に心配なのかもしれないけど。宏実は結婚願望ある?」

「私はあるって言えばあるけど、ないって言えばない」

「それってどっちよ」と言った加絵は、残り一つになったイカリングにフォークを突き刺した。

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