メシトモ!
「そんな短時間じゃ、ドレスも和装も紹介できないでしょ。どう、初のモデルは?」

「二度とやりたくない。俺はモデルって器ではない」

「よーくわかってるじゃない。もし、俺モデルになるって言ったら、姉弟(きょうだい)の縁切ろうと思っていたわよ」

 涼太の髪を雑に撫でて、いつもの髪型に戻してやった。

「やめろよ。じゃあ、帰るか。帰りスーパーに寄るから」

「わかった」

 ソファから立ち上がったとき、後ろから「杉山さん、涼太君」と呼ばれた。

 佐々木さんは私たちの所へ小走りで駆け寄ってくる。

「よかった、二人ともまだ帰っていなくて。もしよければ、三人でご飯食べに行きませんか? 今日のお礼をしたいんです」

「いえ、そんな。お礼だなんて」

 涼太がモデルの代役を引き受けただけであって、私はなにもしていない。それに私はここのホテルスタッフだから、なにかあればそれに対応するのは当たり前のこと。

「そうですよ。僕は大したことしていなし、謝礼だってちゃんと頂いていますから」

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