メシトモ!
 私もジェノヴェーゼパスタを食べてみた。

「美味しいです。塩分が丁度よくて、爽やかな味です」

 佐々木さんは取り分けたパスタを食べきると、自分のジェノヴェーゼパスタを食べ始めた。

 私は小皿を一端置いて、佐々木さんが絶賛したトマトクリームパスタをフォークに巻きつけた。

 普通のトマトソースよりクリームが混ざっているおかげでオレンジ色よりだった。ここに来るまでに見た、あの空のような色。それを口に入れると、まろやかな酸味が広がった。あの空をもし食べることができたのなら、きっとこんな味なんじゃないかなと思った。

「佐々木さんはここによく来るんですか?」

「そうだね、煮詰まったときによく来るんだ」

「煮詰まったときにですか?」

「そう。デザインを考えて、いいのができたと思っても、駄目出しされるときだってある。時には、過去に自分がデザインしたものと酷似しているのを、また作ろうとしてしまう時もある。そういうときにここへ来るんだ」

 物を生み出すって大変なんだな、と思った。涼太が課題で図面を描いている姿を見て大変そうだと思ったけれど、仕事になればその苦労は桁違いだろう。

 佐々木さんは、水を一口飲んで話を続けた。
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