メシトモ!
 実家のインターフォンを最後に押したのはいつだろう。

 お母さんがいつも家に居たころは、友だちと遊んで夕方近くに家へ帰る。そしてインターフォンを押すと、数秒後には「おかえり」と同時にお母さんの笑顔が飛び込んでくる。小学生のころの遠い記憶が浮かんだ。

 そして、現在は。

「うわ、姉ちゃん」

「なに、その反応?」

 弟が面倒臭いというのを顔全体で表現していた。

「いや、とくに深い意味は」

「ふーん」

 涼太の反応を無視して我が家に入るとなんだかほっとした。

 和室へ入り、仏壇の前に正座をした。涼太とお父さんが、こまめに花を変えているのだろう。相変わらずお母さんが好きそうな花が活けられていた。

 写真を少し眺め、ゆっくり手を合わせた。私は元気にやっています、と心の中で語りかける。返事はなにも返っては来ないけれど、気持ちが穏やかになるのを感じた。

 リビングに戻ると、涼太が夕飯の準備をしていた。

< 70 / 235 >

この作品をシェア

pagetop