メシトモ!
 突然、後ろのから声を掛けられてびっくりした。振り向くと「ごめん、驚かせちゃった」と笑う佐々木さんがいた。

「大丈夫です。あ、これ買ってきます」

 佐々木さんの横を通り抜けて、レジで精算を済ませた。

「佐々木さん、そろそろ行きますか? それともまだ見ますか?」

「いや、いいアイディアが浮かんだから、大丈夫。ご飯行こうか」

「はい」

 スーツ姿の人が多い中、私たちの服装は少し浮いていた。

 就職したての頃は平日が休日のため、お店に入っても、街中を歩いても、謎の後ろめたさがあった。それも半年くらい経つとなにも気にならなくなった。

「ここだよね、串兵衛(くしべえ)」

 目の前には大きな看板に太筆で書かれた『串兵衛』の文字が目に入った。その文字の上に、小さく『やきとり・串揚げ専門店』と書かれていた。

 中に入ると店員さんに案内されて、壁側にテーブルがぴったりくっつけてある席に座った。

「端っこの席でよかったね」

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