未知の世界3

気晴らしに屋上へ上がると、懐かしい景色が広がっていた。
屋上のベンチに座った。




数年前、私はここでタバコを吸っこともあった。
花火を見て倒れたこともあった。
辛い時も悲しい時もここで過ごした。

全てが懐かしい。 
  


この病院に入院してから、私には本当に驚くことばかりだった。
今医者を目指してるなんて、想像もしていなかった。



手術・・・  


これ以上、幸せなんていらない。



もう私には充分。 












なんて色々と考えていると、後ろから誰かに声をかけられた。






「ここは寒いから、病室に戻りましょう。」




振り返ると見たことのない医者。
何で私に声をかけるのかわからなかった。 



私はベンチから立ち上がり、院内に入った。
喉が渇いたので、売店に向かう。




売店でジュースを買おうとすると、レジで止められた。



「お客様には販売できません。」




どうしてか尋ねたら、





「規則ですので。」





患者が利用する売店なのに、購入できないなんて、訳がわからなかった。      



私は黙って店を出て、自販機に向かった。  





自販機で好きなコーヒーを買った。
砂糖も牛乳も入ったコーヒーが好き。



飲み終わり、ゴミ箱に入れると、遠くから看護師が入ってきた。






「鈴木さ~ん!」





息を切らした看護師が私のところへやってきた。
慌ててどうしたんだろう。

 


「どこに行ってたんですか!   
皆で探してたんですよ。
部屋に戻ってください。」






え?今日は検査もないと思ったけど。






私は理由がわかりないまま部屋に戻った。






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