未知の世界3

「かな、なんで投薬治療なんて進藤先生に言ったんだ?




手術、怖いか?」




私のベッド沿いの椅子に座るなり、私に話しかけてくる。




病院ではいつも白衣の幸治さん、今日はジャケットにジーパン。




相変わらずイケメン。




「答えろよ。」




静かに怒ってる。












そうだね、幸治さんには話さなきゃ。










「私、進藤先生から病名を聞いた時、私の人生は、最初からこうなる運命だったのかなって。」









「ん?





よく分からん。」









「きっと、人それぞれの人生における幸せな時間って決まってるんだって。










18年間、私の人生には幸せはほとんど訪れなかった。








それが、幸治さんと出会って、人生が180度変わったんです。





それから幸せ過ぎて、







恵まれ過ぎて、








これ以上の幸せは私にはないんじゃないかって、いつも思っていました。









私の幸せを受ける容量はもう限界になっていて。だから心臓も小さく作られているんじゃないかなって。










人生の長さにあった体なんだって思って。










これ以上の幸せはいらないって思ったんです。」







幸治さんは私の手を探り、強く握りしめて私の目を見た。








「そんなはずはない。お前はもっともっと、これから幸せになるべきなんだ。









俺のそばにはずっとお前がいなきゃ、俺の幸せだってもっとあるはずだ。









お願いだから、そんなことを言うな。










俺の前から消えるなんてことは絶対にない!」










私の手を祈るようにして額に当てて、そっと口づけをする。










こんなはっきり言う幸治さん、初めて見た。
















「かなのことだ、他にもあるんだろ?」











「もう…私の体に傷入れて欲しくない。











そんなズタズタな姿、私の本当のお母さんとお父さんが知ったら、 もしかして天国で見ることになったら…」











「そんなこと、言うなって!









大丈夫だ…傷は、気にすることはない。







俺しか見ないんだから。








それに、誰が手術すると思ってる?








親父を舐めるな。世界一の心臓外科医だぞ。」











え…、お父さんが。





え?





「世界一…知らなかった。」







っていうか、幸治さん、俺しか私の体を見ないって、何気にすごいこと言ってる。





私は幸治さんに話してる間、顔が強ばっていたけど、少し頬が緩んだー気がした。






「だから、とにかく手術は受けるぞ!




俺が必ず、親父と一緒にかなを救ってみせる!」













< 285 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop