未知の世界3
翌日から再び入院生活が始まった。
入院は全身の打撲の痛みがある程度引いて、歩くことができるようになれば退院と、主治医の先生から説明を受けた。
そう、今回は小児科ではないため、主治医は違う先生。
今回は小林先生という年配の先生。
一週間、打撲した全身の痛みの様子をみて、体を動かせるようになったら退院できると言われた。
一週間、、、
本当に辛いよ。
一週間の勉強を取り戻すのに、どんだけ苦労しなきゃならないんだろ。
入院、嫌だなぁ。
なんて思っていると、扉が開いた。
「起きてたか?」
とこちらを向いて言う白衣を着た幸治さん。
その後ろには早川先生。
私は、全身が痛むけど、頭を下げた。
「痛いだろ?動かなくていいから。」
と幸治さんが声をかける。
「かなちゃん、これ二年生用のノート。退院したら、勉強に使ってね。」
といい、早川先生から幸治さんに渡されたノート。
一年生のころに、書き写すようにって、貸してくれたノートの続き。このノートのおかげで、どれだけ救われたか。
幸治さんは、早川先生から受けとったノートを着替えと一緒に部屋のたんすに着替えを入れてくれた。
「早川先生、ありがとうございます。
ノートのおかげで、昨年は大変助かりました。」
と言うと、
「いえいえ、また今年も大変だろうけど、頑張ってね。
退院も早くできるといいね。」
という早川先生に、はい、と返事をした。
「今日、俺は当直だから、また夜も来るな。着替えは入れておいたから。洗うものがあったら、帰りに取りに来るから。」
と幸治さんに言われた。
「幸治さん、、、
忙しいのにごめんなさい。」
と謝ると、頭をポンッと押された。
「心配するな。今まで俺が、家の事を全てやってもらってたんだ、たまには俺もやらなきゃな。
それからな。今後のことなんだけど。
今までは小児科で喘息の検診を受けてただろ?
でも、かなはもう大人の体だ。
大人は呼吸器内科に通わないといけない。
だから、かなはこれから呼吸器内科の先生に診察してもらうからな。」
えっ?幸治さんじゃないの?
新しい先生なんて、不安だよ。また一からなの?
と思いながら、私は不安な顔をしていたのか、
「そんな顔するな。大丈夫だ。腕のいい先生だから。
それに、かなのことは全て俺から話してあるし、これから先も俺がかなの家でのことは、先生に伝えるから。
だから、逃げられないぞ。」
と、いたずらな顔をして、私を見る。
そんな顔、ずるいよ。
そんな顔で見られたら、恥ずかしいよ。
「入院中に、ここにその先生が挨拶にみえると思うから。」
なんか嫌なの。
幸治さんじゃなきゃ、嫌だな。
再び、幸治さんは、私の頭に手を置き、今度は髪をくしゃくしゃにして立ち上がり、また来ると言う。
少しの間だけど、ゆっくり休んでね、と早川先生は私に声をかけると、幸治さんと部屋から出て行った。
幸治さんの座っていた椅子の上を眺める。
きっと、まだ椅子は幸治さんの温もりが残ってるんだろうな。
幸治さんが私のこと、大人の体って言ってくれた。
なんだか、急に恥ずかしくなった。
まるで、私の体を知っているかのようだった。
まぁ、主治医だし、何度私の体を見てきたのかわからないけど。
それでも、その言葉一つで、いろんな想像をしてしまった。
私って、、、
ド、変態。