男装騎士~それから~
その日から、休みの日になるとこの店に通った。
いつ来ても彼女は優しく笑って。
僕を、迎えてくれた。
彼女の事を、一つ一つ知っていく。
実はコーヒーが飲めないこと。
まだ幼い妹がいること。
お母さんは、体が弱く床に臥せていることが多いこと。
それでも、元気になってほしくていつも明るく話しかけているのだという事。
彼女の笑顔には、そう言う意味があったのかと知った。
もっと知りたい。
もっと知って、もっと彼女の笑顔を見たい。
そんな風に、いつしか思い始めていた。