裏ギフト
そう言われ、あたしはチラッと永遠を見た。


永遠はニコニコといつものように笑顔を浮かべている。


女子を褒めているのに照れた様子はない。


相手が結香だったら?


その頬を赤くして照れながら褒めるんじゃないの?


「あたしはみんなに好かれるより、1人に好かれたいの」


「へぇ、誰に?」


「永遠に」


直球を投げかけると、永遠が箸を止めた。


驚いたように目を丸くして、そしてとまどったように視線を泳がせる。


あたしがここまで頑張って、ようやく永遠のポーカーフェイスは崩れる。


「俺は侑理の事、大切に思ってるよ」


永遠はそう言い、また箸を動かし始めた。


大切に思う。


とても便利な言葉だと、あたしは思う。
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