裏ギフト
そんな時だった。


つい先ほどまであたしと永遠がいた下駄箱から、女の子のけたたましい悲鳴が聞こえて来た。


あたしと永遠は思わず立ち止まり、振り返る。


結香……。


あたしは自分の口元に笑みが浮かぶのがわかった。


「なにかあったのかな」


心配そうな顔をする永遠。


永遠は優しいね。


誰の声かもわからない悲鳴を気にかけるなんて。


「きっと誰かが転んだりしたんだと思うよ? 女子って少し大げさに悲鳴を上げるんだから」


「あぁ……そうだよな」


あたしの言葉に永遠は頷き、再び歩き出す。


あたしは永遠の後をゆっくりとついて歩いたのだった。
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