裏ギフト
購買でパンとジュースを買ってきた永遠が教室へ戻ってくるのが見えた。


「永遠……」


『一緒に食べようよ』


そう声をかけようとしたけれど、永遠はあたしの前をスッと通り過ぎた。


そして、躊躇することなく真っ直ぐに結香の席へと向かった。


結香がそれに気がつき、文庫本から顔をあげる。


「何の本読んでるの?」


永遠がそう聞いている声が聞こえてくる。


結香は少しとまどったように視線を泳がせ、そして「恋愛小説」と、答えた。


思わず箸を持つ手に力が入る。


なにが恋愛小説だ。


お前にお似合いなのは昆虫図鑑だろ。


「へぇ、面白そうだな。ここ、座っていい?」


永遠が結香の席の隣を指差す。


その席の生徒は食堂で昼食をとっていて、しばらくは戻ってこないだろう。


「うん、いいよ」


結香が返事をする。
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