ホオズキ少女の嘘
決意とすれ違い。6月
「おはよう!」

余命宣告された次の日の朝。

私は、マネージャーとして所属している、バレー部の部室にいた。

「なーつき!おはよ!今日も頑張ろうなー!!」

笑顔であいさつしてくれる先輩。

「おはよー。陸は一緒じゃないの?」

この子は同じ部活の同級生。山野伸一っていうやつ。いい人なんだけど…たまにムカつく。

「陸なら、もうすこしでくると思…わっ」

「だーれだ?」

後ろを振り返ると、そこにいたのは陸…私の彼氏。

「陸おはよう。」

「おはよう。夏来。昨日病院どうだった?」

うっ…そうだ。陸には言ったんだったよ。

「え?ああ、全然大丈夫だったよ。インフルの検査とかもしたけど平気だった。」


…嘘だ。嘘だけど、陸に絶対迷惑かけたくない。


「……ふーん。よかったね。」

でも陸は勘が良いから、ばれないように頑張らないと。

「あ、朝練の時間終わっちゃうよ?」

…いつも通り振舞おう。私には1カ月しか残ってないんだから。


朝練が終わるまでに、ドリンク作んないと。

私は急いでドリンクを作る。他のマネージャーにも手伝ってもらいながら。

…とりあえずドリンクは出来た。

全員分のドリンク作るのはさすがに大変。

1人でやったらもっと大変なんだよね…。

心さんとみっちゃんがいるからまだマシかな…

心さんは3年生の先輩で、みっちゃんは 飯倉未来っていう私の同級生で親友なんだ!

「夏来ちゃん!後5分で朝練終わっちゃうよ!体育館に運ばないと!」

え、もうそんな時間!?

みっちゃんに言われないと気づかなかったよー。

「わかった!心さんはタオルお願いします!」

「うん。気をつけてもってね。」

心さんにタオルを渡し、ドリンクをみっちゃんと運ぶ。

ガラッ

体育館に入り、時計を確認する。朝練終了まで後2分。

「よかった…間に合った…。」

朝練が終わって、皆にドリンクとタオルを渡す。

「陸!お疲れ様!」

まずは陸に渡さないとね。

「ありがとう。……ねえ、俺に何か隠してない?」

…え?気づくの早いよ。

「そんなわけないじゃん。私が陸になにか隠す必要ある?」

「…まあ、そうだね。」




――冷たい汗が私の背中を滑り落ちた。
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