ホオズキ少女の嘘
体育館をでて、陸と一緒に教室に向かう。

同じクラスなんだけど…今日程違うクラスがよかったと思うのは初めてだ。

全然嫌いなわけじゃないんだけど…ばれやすそうだから…ね。

教室に着いて、とりあえずまわりの子にあいさつして、席に着いた。

数分後ホームルームが始まったんだけど、勿論私は上の空。

…早く家に帰りたいなあ。

授業なんて全然聞く気になれなくて、なんかぼーっとするから早退しようかななんて考えた。

でも案外自然にできてるからいいやって。

部活はやっぱり楽しみだから…。

それに、花の水やりしないとね。


―――――

…やっと放課後がやってきた。

1日ってこんなに長かったっけ…。

「陸!部活いこー!!」

「うん。」

陸と一緒にこうやって部活に行ったりできるのも後1ヶ月なんだなと思うと、少し寂しくなった。

部活で陸の様子を見ながら、マネージャーをやって、部活が何時も通り終わった。

…余命宣告されてから1日

部活の時間は思いのほか過ぎるのが早くて…

部活までは1秒1秒が1時間位に感じたのにね…。

「嫌だなあ…」

あっというまに終わった部活の時間の後、皆が帰った部室で一人呟いた。

目から熱いものが流れ落ちているのも気にせず、私はこう繰り返した。





―――死にたくないよ。





もっと部活したいな…

もっと友達増やしたいな…

もっと部員の皆と仲良くなりたいな…

もっと、嫌いだけど勉強もしたいな…

もっと色んなことを知りたいな…

もっと人生を過ごしたいな…

もっと皆と一緒にいたいな…

もっと…









―――もっと陸と一緒に過ごしたいな。



でもその”もっと”は私にはもう1ヶ月しか残されてないんだ。

なんでだろ…私、なにか悪いことしたかなあ…?

悪いことしたなら、直すよ。直すからさあ…

ねえ…嫌いな勉強だって、苦手な運動だって、いつも陸に迷惑かけちゃう人付き合いだって…

「頑張るからさあ…もっと…何十年も生きたいよお…」

ねえ神様。私、どうしたらいいの?
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