四色恋模様
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「は?」
結人の話しを聞き終えてからの第一声がこれだった。
「つまり、俺とななは偽の恋人関係であって恋愛感情とか一切ないから」
安心しろ、と得意げに笑う結人を1発殴ってやりたい衝動に駆られたがそれをどうにか抑える。
「俺と舞花をくっつけるため…?なんで?」
「それは、お互い好きそうに見えたから…」
モゴモゴと言いにくそうに喋る結人は明らかに俺のご機嫌を伺っている。
「好きって、それは妹みたいに思ってるからだよ!舞花だって俺の事兄貴みたいに思ってるに決まってるだろ!」
くそっ、ななにもう一度話さなきゃならねーのかよ。
あんなに必死だったのは俺たちをくっ付けさせるためだったのか…。
ホッとしたような、でも俺の事もやっぱり幼馴染としてしか見てないんだなというモヤっとした感情が入り混じる。
「人の気持ちは勝手に決めるなよ。舞花は少なからずお前の事を好きなんだと思うぜ?」
「おい、人の気持ち勝手に決めるなってそっくりそのままお返ししてやるよ」
結人は肩をすくめて俺の言ったことをスルーした。
「とにかく、そういう事だから。偽の恋人はもうやめる。この事は舞花には秘密な」
「ああ、もちろん」
素直な舞花だ。こんなこと知ったらなんて思うか…。
「なんで、せいは舞花じゃ駄目なんだよ」
「…え」
何故か悔しそうに絞り出すような声で結人がそう言った。