四色恋模様
「そしたら、私はもう帰ろうかな」
ガタッと席を立つ音にそっちを見ると桃がカバンを持って帰ろうとしていた。
「そっか、またね桃」
「またね〜」
帰っていく桃を見送って私と舞花はせいと結人が帰ってくるのを待った。
たまには四人で帰るのもいいよね。
私は結人を待ってるだけだけど…。
「ねぇ、なな。聞いてもいい?」
「え?何を?」
私の向かいに立つ舞花が慎重な声でそう聞いてきた。
吹き抜ける風が舞花の長くて柔らかい髪の毛を揺らしている。
「ななって本当に結人君と付き合ってるの?」
舞花の綺麗な深みのある青い目で見つめられて私は声が出てこない。
「な、なんで?ちゃんと付き合ってるよ?」
まさか、舞花がこんなに鋭いとは…。
「本当に?なな、せい君と話してるときのほうが嬉しそうだから…」
ドクン…と気持ち悪い鼓動が胸を打つ。
舞花は視線を下げて続けた。
「もし、なながせい君を好きなら…言って欲しいの。私のせいで気持ちを抑えて欲しくないから…」
その声は、その言葉とは反対に「好きとは言って欲しくない」と願いがこもってるような切なそうなこえだった。
「私はっー」
違う。こんな気持ち違う。
好きなんて、絶対違う。