冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!

いつの間にか肩をしっかりホールドされ、身動きが取れない。
ほんの一瞬、チクッとした痛みを感じ亮介の唇が離れて行く。


「…何してくれてんの!」

見えなくてもわかる。
赤くなってるであろうその痕は、キスマークと誰もがわかるはず。
自分の見えないところに付けられたから余計に恥ずかしい。



「俺のものっていうマーキング」

そう言いながら、サクッとスニーカーを履き、今起きたことに呆然としている私の横をすり抜けて颯爽と玄関から出て行く。


「もう!!!!!!どうするのよ、痕付いてるんじゃない?」



「付けようとしたんだから付いてるでしょ。可愛いキスのお返し」

とニヤニヤしながら先に進む。


「そんなお返しいらない!」

私は叫び声をあげながら慌てて玄関の鍵を閉めて、亮介の後を追う。
亮介がひとりで住んでいた部屋に、私が引っ越す形で新居にした。
2LDKの間取りは、二人で住むには十分な広さだったし、亮介は仕事柄、深夜に及ぶまで仕事をして来ることがあり、1階にある仕事場は便利だし、私の通勤にも申し分の無い近さだった。

亮介は他の新居を考えていたようだったけど、姉夫婦から貯金をして、将来、理想の家を見つけたら良いというアドバイスに渋々従っていた。


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