冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!

会社とは全然違う姿を見たから、ちょっと動揺しているだけだと思う。
でも何で動揺なんてしてるの?
あ、進藤がメガネ姿じゃないからだ!


「進藤、メガネは?」


「だから、さっき、コンタクトだって言ったじゃないですか。」


「サッカー終わってるよ。」


「今日はメガネを持ち歩いていません。」


「案外、自分がイケメンって事、認識してるんじゃない?」


「はぁ???
夏希さん、さっきからなんかおかしいですよ。今日子さんみたい。」


「えー?私、今日子みたいに絡んでる?」


こんな会話をして歩いていると一台の車の前までやってきて進藤が立ち止まった。
キーを開けてトランクにシューズやユニフォームをしまい込む。


「えっ?車なの?!」


「はい」


「進藤が運転できるなんて意外!」


「僕をなんだと思ってるんですか?さっきから!」


「進藤のくせに!生意気。」


「意味がわかりません。」

今日は進藤の意外な面ばかりが見えて、やっぱり動揺しているのかも。
勝手に進藤は運転なんてしないと思ってたから。
車にはなかなか乗らずに私達が話していると、進藤のチームメイトらしき人が駐車場にやって来た。


「お疲れっす!」と進藤が挨拶をする。


「お疲れ!」

と答えたその人は進藤に耳打ちしながら、私をチラッと見る。


「彼女?!」

小声で言ってるつもりなんでしょうが聞こえてます。


「…まだです。」

と、下を向きながら呟く進藤。


その人は「ふーん」と面白そうに笑って私達の横をすり抜けて行った。
私はその人に会釈することに気を取られていて、
進藤の「まだです。」の意味を深く考えることはなかった。








< 26 / 145 >

この作品をシェア

pagetop