冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


成二が追って来ない事を確認して鞄の中のスマホを探す。

あ・・・そっか。

進藤からの電話の後、電源を切って後部座席に投げられちゃったんだ。


それに無我夢中で走って来たから、両足のかかとが靴ずれして痛い。
左足なんて、真っ赤な血で染まってる。


どうしよう。


ここどこだろう?
大通りまで行かないとタクシーも拾えない。
この場にいても仕方ない。
とにかく歩こう。
靴ずれが痛むけれど、それしか方法がない。
もしかしたらタクシーが偶然通りかかるかもしれないし。


人通りなんてまったくない。
時折、通り過ぎる車がいるけれど、ほとんどが私のことなど気に留めず、走り去っていた。


心細いな。


成二のあんな姿を見てしまったショックも大きい。
今にも心が折れそうになる。


するとぼんやりと街頭に照らされているバスの停留場をみつけた。
私は走り寄って時刻表を確認する。



東京駅南口行き 最終22:18



腕時計を見ると、22:34とデジタルで表示されていた。
はぁ・・・終わってる。


一筋の光もたちまち絶たれ途方に暮れた。
とりあえず、座ろう。
靴ズレの痛さが限界に来ている。
バス停のベンチに座り、誰かに連絡をする方法を考える。


普段、どれだけスマホに頼り切ってるのよ。
今日子の電話番号ですらわからない。
わかったとしても公衆電話を見つけるのも大変。
ベンチに座ったまま、通りを走り去る車をぼんやり見ていた。



進藤・・・



急に涙がぽたぽた落ちて来た。
こんな時に進藤を思い出すなんて、どれだけ都合が良いのよ。
と自嘲しながらも涙は止まらなかった。


進藤に逢いたい。
逢いたいよ・・・





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