君の花嫁~大学生編~
伊織は着替えも途中で、黙って私に近づいてくる。
「うわ、ごめ」
謝ろうとすると、手首を掴まれグイッと引き寄せられる。
着替えの途中だったから伊織は上半身裸で、素肌の胸に頬をよせてしまう。
「い、伊織」
「お前は何もわかってない」
慌てる私をよそに、頭の上で伊織は大きくため息をついた。
何がわかっていないというのか。
どういうことかとキョトンと顔を上げて見上げると、呆れたように見つめられた。
「いいよ。わかってなくて。お前には俺がいるし」
「う、うん?」
とりあえず曖昧に返事をすると、伊織はそのまま顔をおろし私の首に顔を寄せた。
「ちょっ、伊織!」
首筋に伊織の唇の感触がして慌てた。背中に回った手つきが妖しい。
「着替えが……」
「うん。手間が省けた」
「わぁっ、ちょっと」
一気に機嫌よくなった伊織は軽々と荷物のように私を抱き上げ、抗議の声むなしくベッドルームに連れて行ったのだった。