君の花嫁~大学生編~
これは……。
わ、笑ってはいけない。
笑ったら目の前のこの男は益々拗ねるだろう。
普段は温厚で、比較的なんでも寛容なタイプだ。
でも、先日の告白の時といい、最近こうした独占欲や嫉妬をちらつかせるときがある。
普段はクールにしており、あからさまに見せることは少ないから凄く嬉しい。
嬉しくてにやける。
でも笑ったら、絶対拗ねる。
でも、でも。
「わら、笑わないよ」
「笑ってるじゃんか!」
駄目だ。
口が緩んで声が震える。
案の定、伊織は面白くなさそうな顔で私に背を向け、隣の部屋へ行き着替えを始めた。
その背中が。
「伊織、かわいい」
思わず言葉にして呟いてしまい、ハッと口を手でふさぐ。
しかし、すでに聞こえてしまっていたようで、睨むように伊織がこちらを振り返っていた。
やばい。