君の花嫁~大学生編~


私、旧姓、綾川真琴が雨宮伊織と結婚したのは三年前。お互いが高校三年生の頃だった。

伊織は世界的メーカーである大企業ame-miyaの御曹司。彼の父親と私の父親が大学時代の先輩後輩の仲で、ある日、父の勤める会社が経営難になり、伊織の花嫁を探していた雨宮社長に助ける代わりにと彼のお見合い相手に私が含まれてしまった。

つまりは政略結婚だ。

初めは恋愛感情もなく、ただ‘結婚しただけ’の私達だったが、結婚してしまった以上このままではいけないと歩み寄る努力をし、結果、紆余曲折の末晴れて心が通じ合ったのだった。

現在は、この鳳凰大学に伊織は経営学部に、私は英文科に通いながら新婚生活を満喫している。

ーーいや、していた。

最近は、伊織が高校時代に手がけたブライダルブランドの経営がうまくいき正直そちらが忙しい。
義父である雨宮社長に、勝手にブランドを立ち上げたことで怒りを買い、大学中に利益を上げなければ全力で潰すと言われたが結果としてその心配は全くないくらい知名度も上がり経営状況もいい。
経営状態が良いため、そのブランドは私たちの世話係であった風間さんに任せている。
それもあって、本格的にame-miyaの正式な跡取りとしてそちらの仕事も少しずつ覚えるために勉強も始めていたのだ。

私も雨宮家の嫁として恥ずべきところがないよう、花嫁修業なるものを頑張ってきた。

だから、こうしてゆっくり外出して遊ぶのは久しぶりであった。







< 6 / 70 >

この作品をシェア

pagetop