俺様主人の拾われペット
-千夏said-






(----------え…?)






花火の上がる音と

重なる手前 聞こえてきた言葉に
私は目を見開いた。






『…好きだ。』






確かにはっきり
私に耳に届いたその声。





(…仁美…さん…?)





本気で言っているのかと
彼の顔を見れば





「っ………!!」





その顔は 真剣で。


頬を軽く染めながら
揺れる瞳で 私を見ていた。




…仁美さんが…私を…?





信じられない話だが
どうやら本気らしい彼の様子に

私の心臓が 激しく鳴る。





-----ドクン、ドクン、ドクンッ…!!





こんなに近いなら
聞こえているんじゃないかと思うほど
激しい心臓の音に比例して


私の顔に熱があつまる。





(ど、どうし…よう…?)





私は今日のことがいろいろとフラッシュバックする。





---浴衣を来た時の
あの仁美さんの言葉。




---自然に繋がれた手。




---男の人たちから助けてもらった時。




---焼きそばを食べさせた時の、あのドキドキ。





---カステラを食べさせた時も…






---それからここへ来た時の、あの言葉。





そして…



彼の告白。





(何で、こんなに……)






思い出すだけで
こんなにも幸せで、胸が締め付けられるんだろう。



こうやって仁美さんのそばにいると
どうしてこんなに、ドキドキするの?




どうして…


仁美さんの告白が こんなに嬉しいんだろう。









「…千夏。」

「!!は、はい…!」

「…返事は?」






--------!!





仁美さんのその

甘い 優しく愛おしそうに私を見る目が
私を捉えて…離さない。






(……あぁ…そうか…。)







私はこの時やっと

自分の気持ちに気づく。









(…私も…仁美さんが、好きなんだ。)







そう自覚した時に

また 花火が上がった。







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